雲の中を散歩

その笑顔に騙されっぱなし

シブヤから遠く離れて シアターコクーン 12月23日(金)13:30

当時からの二宮担のみなさんがこの作品を大切に思っていることは知っていたけど、あらすじやらレポやらを読んでもいまいちよくわからない…。いったいどんな世界だったんだろうというのを知りたくて、再演、観に行ってきました。コクーン、白夜の女騎士以来で10年ぶり…?!


ススキに囲まれた渋谷にある廃墟の洋館が舞台。そこに隠れ住む謎多き女マリーと、その洋館の元の住人である友人ケンイチを訪ねてやってきたナオヤ。その二人と取り囲む人々の、過去・現在・明日が交差する夢うつつで狂気の物語……という感じだった。岩松さんの戯曲は聞いていた通り難しい。目の前のセリフはわかるんだけど、それがどういう意味なのか、どういう背景があるのか、現実なのか空想なのかが判別しない。会話も噛み合っていないし、みんな何かにいら立っている。まあ、そもそも完全な理解は求めていなくて、ふとした瞬間に登場人物の心情と波長が同調したように感じられる、それでいいんだろうなと思った。本で読んだらまた違うんだろうな。マリーとアオヤギとアオヤギの父は「椿姫」がモチーフなんですもんね。劇中には「若きウェルテルの悩み」が出てくるし、重要な役割を果たす葡萄もいろいろ意味を持っているんだろうし…。「葡萄=理性」なのかな?自分の物知らなさも理解不足を助長してると思います。

シブヤとはどういう街なんだろうなぁ。あヽ荒野の「新宿」の描かれ方も同じように思い出すよ。

12年前の小泉さんとなら束の間の恋人のようなマリーとナオヤの関係になるんだろうなと想像できたけど、今の小泉さんと虹郎くんだと母性の方が前面に出て、ラブストーリーとはあまり感じられなかった。キョンキョン美しかったですけどね。不安定さや儚さというよりは、諦念の覚悟を感じた。ハピエン厨なところがある身としては、アオヤギとヨーロッパの田舎町で微笑むマリーの姿が見たかったなと考えてしまう。【「マリーとナオヤ」の物語】というよりは【『マリー』と『ナオヤ』の二人の物語が交差するひと時】という印象でした。思ったより笑いが多かったのも意外だった。


村上虹郎(ナオヤ)……今のこの年齢だからできる役。大変だったろうな〜。観る前に想像していたよりもあどけないナオヤだった。
小泉今日子(マリー)
鈴木勝大(ケンイチ)……よわかて!怒鳴っているところが印象に残る役だったので、また他の役で見てみたい。
南乃彩希(トシミ)
駒木根隆介(黒い服B)
小林竜樹(黒い服A)
高橋映美子(フクダ)
岩松了(黒い服C)……岩松さんが二宮さんについて答えたインタビューとか今からでも読めるものがあったら読みたい…!
たかお鷹(アオヤギの父)
豊原功輔(フナキ)……1幕で安心させておいて2幕では「お前もか…!」となる二面性ぴったりだった。これ勝村さんがやったときも色っぽかったんだろうな〜…。
橋本じゅん(アオヤギ)……真っ直ぐでファニーで素敵でした。出てくるとホッとする。Vamp!Bamboo!Burn!に引き続きの観劇でございました。
?(タミヤ)


自分の中の世界だけで死者と交信をするナオヤ。想像でしかないけれど、二十歳の二宮くんが演じる赤いゼラニウムと雪の中にいるナオヤを以前より具体的に思い浮かべられるようになった気がしてよかったです。